●巻頭言
不安定な社会で生涯健康人を全うする
令和3年も九月を迎えました。しかし、新型コロナ変異ウイルスのためにいまや全世界が真に安心できるような本格的な社会の到来は全く予想も立たない有様です。さらに、近年は毎年のように猛烈な異常気象が世界中を襲い、想像を絶する大災害を及ぼし、これまでも多くの尊い命が失われて参りました。
このような異常気象は、まさに自然要因による天災だけではなく、人為的な地球温暖化に因るものであり、これからも益々激しくなる恐れがあります。このような世界的な異常気象はこれまでの急速な世界人口の激増と人類の傲慢で無責任な生活形態に対する自然からの赤信号であり、異常気象の主原因が地球温暖化に因ることは明らかで、既に 1997 年の京都議定書に始まり 2015 年のパリでの cop21 で採択されたパリ協定では世界最大の温室効果ガス(炭酸ガス、メタン、酸化窒素、ハロカーボンなど)排出国の中国等などの新興国も参加する画期的な枠組みで解決策を見出すために出発したのですが、これからも、前途多難の状態が続いていくことでしょう。
一方では、突然、強烈な勢いで発生し短期間で世界中に広まってきた新型コロナ変異ウイルス感染症は、全世界を不安に陥れ、遂に感染者数が2億に接近し、死者数も 600万人以上となりました。一日も早く全世界の人類全体に有効なワクチンが着実に行き渡るように祈るばかりです。このような不安定な社会で前向きに生きてゆくためには、個人としては何ができるかをもう一度しっかりと考え直す必要があるのではないでしょうか。
ウイルスは自分自身では増殖できず、生物の細胞に寄生して増え、細胞を破壊しながら拡散します。新型コロナウイルスは、人間から人間へと、接触や体液の付着などによって感染するように変異しました。その後ますますその能力を高めてきました。有効なワクチンが開発されるまで、感染防止には密集・密閉・密接の3密を避けるしか方法がありあせん。この度の、新型コロナウイルスの変異株が引き起こした事は、これまでの自然の見方と人間の生活を根本的に考え直す良い機会なのかも知れません。まず最初に、この地球は人間の目には見えない微生物とウイルスが共存する惑星であるということを再認識する必要があります。パンデミックを引き起こす細菌やウイルスも地球のあらゆる場所にいて、絶え間なく変異を繰り返しているのです。
感染症を引き起こすのはそのごく一部ですが、その感染源は一般に野生動物です。野生動物が持っているウイルスはその宿主と共存しているため、野生動物では発症することはないが、それが家畜や人間に移ると死に至るほどの病を引き起こすのです。今回の新型コロナウイルスは中国の武漢で食用に売られていたセンザンコウから感染したとされています。現在、世界中の動物の生物体量の9割以上が人間と家畜で、地球のやく3割が陸地ですが、人間と家畜以外の野生動物の住める場所は次第に減少し、人間と家畜との接触が増えて、細菌やウイルスが移りやすくさらに、現代は奥地まで舗装道路が走り、人類が頻繁に遠くまで移動するため、急速に感染が都市地域まで広がりました。
新型コロナウイルスの蔓延も、人間による自然破壊と、人間の世界中の移動や密集によって引き起こされ、このままの人間活動が続く限り、例え今回のパンデミックが収まっても、また新たなウイルスが登場してくるに違いありません。そのたには、先ず、野生動物と人間や家畜との接触を避けるに自然破壊を抑え、野生動物の保護区を広げて接近を抑え、しっかりと管理することです。
さらに、私達の生活様式を見直す必要が何よりも大切です。これまでは、仲間や学校では、何かと集まることを基本にして生活してきました。家族、学校、スポーツを始め、あらゆる催しがそれによって成り立ってきました。まさにウイルスにとって絶好の感染機会となりました。今年の夏のオリンピック開催は最高の魅力となりましたが、これからは、感染防止のためにも3密を避ける生活様式を見直す必要があります。
一人で、あるいは小人数で過ごすことは、また新しい発見があります。じっくり自然と向き合うのも読書にふけるのも、親や友人と時間をかけて会話をするのも効果があります。これまでにも、私達は日々様々なことに巡り会い、それを仲間との間で情報交換する為に様々の便利な文明機器を発明してさらに発達させてきました。現在では、オンラインやテレワークで社会生活に必要な情報交換を発展させる上で重要な役割を果たすことも普通になってきました。一方では、脳だけで情報交換することでお互いが繋がり合っているという錯覚に陥り、己の五感を使いお互いが共感力を持ったうえで情報交換しているという感覚が希薄になってしまう恐れもあります。脳による情報交換が目的化して、個人の体験がそれにひきずられてはなりません。
これまでは、人間は五感(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)で外界を認識することの重要性を学んで参りました。さらに、他の霊長類と異なり、人間のみは家族と共感力を鍛えるために役立つ共同体を持つ二重構造の社会を生み出してきました。その結果、人間のみが異常に発展し世界人口も急速に増大して、遂には地球温暖化を起こすまでになってしまいました。
これからの人間は、これまでの傲慢な世界観に捕らわれず、先入観を排斥してよく考え、自分自身の五感で感じることが生きている喜びを実感することに繋がるを忘れてはなりません。自分の個性と感性を磨き自立心を育て上げるためにもう一度全ての生活様式を見直すことが大切です。そして、仲間とも穏やかに繋がり、お互いに依存しあうのではなく、自立した存在として世界の多くの人間と繋がるのです。
考える珠算塾はその意味で理想的な共同体となるでしょう。新型コロナウイルスのためにお互いが距離を置かねばならない現在こそ、例えばオンラインと対面指導を巧みに使い分け、新しい様式の考える珠算塾をそだてるために珠算人全ての知恵が求められます。それによって学童たち各自が自立する好機になると思います。一人で過ごす時間も大切にして、自然を見つめ直し、直感力を豊かにし、意欲を自由に伸ばし、創造の喜びを体験するのです。
個人にとって最も大切な人間性としての能力は直感力と共感力です。直感力は人間同士と自然相手とやり取りしながら鍛えられ、それを正しく働かせるために必要なのが共感力です。直感力を豊かにし、意欲を自由に伸ばし、創造の喜びを体験するために、各自が自主的に考え、努力を重ねて豊かな未来・将来を目指すために、脳を鍛え、併せて人間性を育てる珠算塾という共同体の中で、幼少時から己の五感を磨き、自ら考え、意欲と創造の精神を育てる珠算学習を経験することが、現代社会で力強く生き延びていく本人の将来のためには極めて重要なことを忘れてはなりません。
ⅠMそろばん名誉会員
大阪府立大学名誉教授 林 壽郎
(2021.09.)
ハワイからの便り
日本でそろばんをガンバっている皆さんへ
こんにちは。日本の皆さんも夏休みが終わり、学校が始まったことでしょう。真っ黒に日焼けできましたか。ディズニーランドやユニバーサルスタジオなどテーマパークへ行けましたか。あるいは科学館などで宿題や課題の研究ができたでしょうか。
ハワイも全ての学校が始まりました。そろばんの生徒は友達との再会が楽しいようです。ハワイでは全校で2020年3月以前のように教室での授業が再開されました。しかし心配されていた学校内での新型コロナ感染が報告されています。8月だけで400人以上の報告があり、不安と心配が高まっています。
ハワイでは12歳以上のワクチン接種が始まっています。ハワイではスーパーマーケットの中にある薬局でワクチンを打つことができるので、日本に比べると簡単に打つことができます(予約は必要です)。今ハワイでワクチンを「2回」接種した人は、ハワイ州人口の約63%を超えました。ところが感染者数が8月後半爆発的に増加しました。前回、一日約「100人」程度の感染者数とお話ししましたが、28日に1600人近くの感染者が報告されました。ハワイ州知事が、「今はお仕事以外でハワイに来ることを控えてください。」とのお願いを全世界に向けて呼びかけられました。
さて問題です。ハワイの人口が東京の約10分の1とすると、この1600人は東京に当てはめると何人に相当しますか?ハワイの人口は約140万人です。
8月30日は720人でしたが、1ヶ月前と比べると依然非常に高い水準です。今のところ感染者を減らす即効の手立てはないようです。
外を見ると、海は青く、突き抜けるような青空が広がり、心地よい貿易風が吹き、そしてシャワー(通り雨)が降ると虹が現れ、時には「ダブルレインボー」と呼ばれる二重の虹もかかる以前と変わらぬ光景が見られるハワイなのですが、目に見えないウィルスとの戦いはまだしばらく続きそうです。
先ほどの問題の答えは「16000人」です。さてこの人数は皆さんが住む都道府県と比べると多いですか、少ないですか?
日本の皆さんも油断禁物。コロナ対策をしっかり行って日々を過ごしてください
ARAKI HIROYA SOROBAN SCHOOL
PRINCIPAL 大嶋 秀明
事務局だより
■ I.M.そろばんホームページ内でお教室を紹介しませんか
I.M.そろばんのホームページは、MEO対策を始めました。そのため、パソコンやスマートフォンで検索すると上位に表示されます。これは、幅広く皆様へI.M.そろばんという団体の周知と、I.M.そろばんの活動や、I.M.と共に歩んでいる先生方のお教室を知って頂きたいと考えている為です。そして真の珠算教育者としての質をより一層高め、日本が誇るそろばん文化を、次世代へ繋いでいきたいという想いがあります。
会員の先生方の教室をI.M.そろばんのHPからご紹介致します。下記をご記入頂き、
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