レポート180号 2020年10月

●巻頭言
人類とコロナウイルスとの共生社会の在り方

本年も猛烈な異常気象が世界中に発生し、これまでも想像を絶する大災害を及ぼし、多くの尊い命が失われて来ました。このような異常気象は、自然要因による天災だけではなく、人為的な地球温暖化に因るものであり、今後もますます激化する恐れさえ見えます。このような世界的な異常気象が、急速な世界人口の激増と人類の傲慢で無責任な生活様式に対する自然からの赤信号であることを忘れてはなりません。異常気象の主原因が地球温暖化に因ることは明らかであります。
一方では、昨年末に突然、中国湖北省武漢市を中心に発生し短期間で世界中に拡大した新型コロナウイルス感染症は、現在でも未だ明確な治療方法も確立せず全世界を不安に陥れ連日の情報に大騒ぎの有様です。ウイルスは自分では増殖できず、生物の細胞に寄生して増え、細胞を破壊しながら拡散します。新型コロナウイルスは、人間から人間へと、接触や体液の付着などによって感染するように変異しました。予防ワクチンが開発されるまで、感染防止には密集・密閉・密接の3密を避けるしか方法がありません。
本原稿では、京都大学総長の山際壽一先生が最近、寄稿された特集(フィールドソサイエティー・参考文献-1)を拝読して誠に不躾ながら、筆者の理解できた
範囲内で、独断で謹んで紹介させて頂きました。
そもそも地球上に最初に誕生した生物は単細胞生物で、古細菌や細菌等が含まれますが、ウイルスはDNAやRNAという遺伝情報の詰まった核酸が蛋白質の膜で包まれており、細胞の仕組みを利用する前生物的な存在です。人体にも1000種以上、数百万個の常在細菌が存在して遺伝子総数は約300万個、人の遺伝子の100倍もの遺伝子が人間と共生しているわけで、ウイルスも常に人体や動物の体内に侵入して、遺伝子の組み換えを起こしています。
この度の、新型コロナウイルスの引き起こした事態は、これまでの自然の見方と人間の生活を考え直す良い機会なのかもしれません。
先ず、この地球は人間の目には見えない微生物とウイルスが共存する惑星であるということを再認識する必要があります。パンデミックを引き起こす細菌やウイルスも地球のあらゆる場所にいて、絶え間なく変異を繰り返しているのです。
感染を引き起こすのはそのごく一部ですが、その感染源は野生動物です。野生動物が持っているウイルスはその宿主と共生しているため、野生動物では発症することはありません。それが家畜や人間に移ると死に至る病を引き起こすのです。近年流行したSARSはハクビシンが媒介、エボラ出血熱はオオコウモリが感染源と言われており、今回の新型コロナウイルスは中国の武漢で食用に売られていたセンザンコウから感染したとされています。天然痘やインフルエンザ等、過去の大規模な感染症は家畜由来のものが多いのです。その理由は、一般に家畜が膨大な数で密集して暮らしているからで、それは細菌やウイルスにとって絶好の機会なのです。
現在、世界の動物の生物体量の9割以上が人間と家畜です。その上、地球の約30%が陸地で、その内、砂漠と南極が約33%、放牧地と耕地が約36%で森林は約31%として、もはや野生動物の住める場所は次第に減少し、人間と家畜との接触が増えて細菌やウイルスが移りやすくなっているのです。現代は奥地まで舗装通りが走り、人類が頻繁に遠くまで移動するため、急速に感染が都市まで広がりました
新型コロナウイルスの蔓延も、人間による自然破壊と、人間の世界中の移動や密集によって引き起こされ、このままの活動が続く限り、たとえ今回のパンデミックが収まっても、また新たなウイルスが登場してくることでしょう。そのためには、先ず、野生動物と家畜や人間との接触を避けるために自然破壊を抑え、野生動物の保護区を広げて接近を控え、しっかりと管理することです。
さらに、私達の生活様式を見直す必要が何よりも必要です。これまでは、何かと集まることを基本にして生活してきました。家族、学校、スポーツを始め、あらゆる催しが集まることで成り立ってきました。まさにウイルスにとって絶好の感染機会となりました。これからは、感染防止のために3密を避ける生活様式を備えとして持っていなければなりません。一人で、あるいは少人数で過ごすことは、また新しい発見があります。じっくり自然と向き合うのも、読書にふけるのも、親族や友人と時間をかけて会話をするのも効果的でしょう。これまでも、私達は日々様々なことに巡り会い、それを仲間との間で情報交換する為に様々の便利な文明機器を発明してさらに発達させてきました。現在では、オンラインやテレワークで社会生活に必要な情報交換を発展させる上で重要な役割を果たすことも常識になって来ました。一方では、脳だけで情報交換することでお互いが繋がり合っている錯覚を覚えてしまい、五感を使いお互いが共感力を持ったうえで情報交換しているという感覚が希薄になってしまう恐れもあります。脳による情報交換が目的化して、個人の体験がそれに引きずられてはなりません。これまでは、人類は五感(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)で世界を認識することの重要性を学んで参りました。さらに、他の霊長類と異なり、人類のみは家族と共感力を鍛えるために役立つ共同体を持つ二重構造の社会を生み出してきました(参考文献-2,3)。その結果、人類のみが異常に発展し世界人口も急速に増大して、遂には地球温暖化を引き起こすまでになってしまいました。これからの人類は、これまでの傲慢な世界観に捕らわれず、先入観を排してよく考え、自分自身の五感で感じることこそが生きている喜びを実感する事に繋がることを忘れてはなりません。自分の個性と感性を磨き自立心を育てるためにもう一度全ての生活様式を見直すことが大切です。そして、仲間とも緩やかに繋がり、お互いに依存しあうのではなく、自立した存在として世界の多くの人間と繋がるのです。珠算塾はその意味で理想的な共同体となるでしょう。新型コロナウイルスのためにお互いが距離を置かねばならない現在こそ、例えばオンラインと対面指導を巧みに使い分け、新しい様式の珠算塾を育てるために珠算人全ての知恵が求められます。それによって学童達各個人が自立する好機になるのではないかと思われます。独りで過ごす時間も大切にして、自然を見つめ直し、直感力を豊かにし、意欲を自由に伸ばし、創造の喜びを体験するのです。
個人にとって最も大切な人間性としての能力は直感力と共感力です。直感力は人間同士と自然相手とやり取りしながら鍛えられ、それを正しく働かせるために必要なのが共感力です。直感力を豊かにし、意欲を自由に伸ばし、創造の喜びを体験するために、各個人が自主的に考え、努力を重ねて豊かな未来・将来を目指すために、脳を鍛え、併せて人間性を育てる珠算塾という共同体の中で、幼少時から己の五感を磨き、自ら考え、意欲と創造の精神を育てる珠算学習を経験することが、現代社会で力強く生き延びていく本人の将来のためには極めて重要なことではないでしょうか。

参考文献

[1]山際壽一:特集“パンデミックに想うこと コロナ後の世界と自然との向き合い方”MURYOJU、フィールドソサイエティ(2020)

[2]山際壽一:“第54回法然院 森の教室リポート” フィールドソサイエティ (2018)

[3]林 壽郎:“人間性を揺るがす現代社会を見直そう” I.M.そろばんセミナーレポート 第154号 (2018)

I.M.そろばん名誉会員
大阪府立大学名誉教授
林 壽郎
(2020.10.)

ハワイからの便り

日本でそろばんを頑張っているみなさん

こんにちは! 皆さん、元気ですか。そろばん、ガンバっていますか。
前回のお手紙でお話ししたようにハワイは3月から休校になっていた学校が8月後半になってようやく始まりました。しかし、9月が終わろうとしている今もまだ多くの学校では生徒は学校に行かず、家でコンピューターを使(つか)ってオンライン授業(じゅぎょう)を受(う)けています。まだまだお友だちと顔(かお)をあわせることができません。
ハワイは、新型(しんがた)コロナウイルスの感染者(かんせんしゃ)が毎日100人ほど出ており、油断(ゆだん)できない厳(きび)しい日が続いています。マスクをしていないとバスに乗ることができず、スーパーやお店(ユニクロやドンキホーテなど)、銀行(ぎんこう)やレストランへ入ることができません。とても厳(きび)しい決(き)まりとなっています。
日本や外国(がいこく)からの飛行機(ひこうき)は4月からハワイに来ていません。皆さんがよく知っている「ワイキキ」ではほとんどのお店は、ずーっと閉( し)まっていて、歩いている人はほとんどいません。ハワイ滞在中(たいざいちゅう)には、皆さんが一度は行く「免税店(めんぜいてん)」の入り口は、板がはって人が入れないようにしてあります。しかし、週末(しゅうまつ)になるとハワイに住んでいる人たちが泳いだりサーフィンをするので、少しにぎやかになります。海で泳いだりサーフィン、魚釣(さかなつ)りが禁止(きんし)されないのは、さすがハワイだと思います(でもプールは閉まっています)。
このような大変な状況(じょうきょう)が続いているハワイですが、皆明るく、元気です。日本の皆さんも、コロナウイルスに負けずに頑張(がんば)ってくださいね。
今回は、ハワイのお友だちからのお便(たよ)りを紹介(しょうかい)します。

ARAKI HIROYA SOROBAN SCHOOL
PRINCIPAL
大嶋 秀明


Aloha my Japanese Friends,

How are you? I’m extremely sad that we won’t be able to see you this year and do the Global Soroban Olympics. Last year was really fun and I hope that we can do it.

Hawaii is still on lockdown and we are doing online soroban classes. How about you?
I hope you keep on practicing soroban even though we can’t go to the classroom yet.
Looking forward to seeing you soon!

Love,
Fina Policarpio


ハワイの生徒さんへ

千葉県 菅 かいり(大2)

こんにちは。かいりだよ。覚えてくれているかな?
私はこれまでハワイ大会に4回行きました。行く度にハワイの生徒さんと仲良くなれて友達が増えて嬉しかったです。今年は新型コロナウイルスの影響でハワイ大会が開催されずとても悲しいけれど、昨年大会で1位を取れなくて悔しい思いをしているので次こそは取れるようにと、withコロナの今が頑張り時だと思っています。みんなもオンライン授業頑張ってね!私も大学には行けず、ずっとオンラインです。
早く新型コロナウイルスが収束してハワイのみんなと会えるようになることを願っています。


事務局だより

■I.M.セミナー開催のご案内

◆Step20検定試験問題、模擬問題の見直し(ZOOMオンラインにて)

日  時:10月27日(火)10時~12時
参 加 費:無 料
参加方法:お住まいの県名、お名前、教場名と、9月15日オンラインセミナー
受講希望と入れて、I.M.そろばんへメールを送信してください。
(im@imsoroban.com) その後、ZOOMのIDとパスワードをお伝えいたします。

■10月6日(火) I.M.セミナーのご報告

◆『Step20検定試験問題、模擬問題の見直しについて』

Step20の文章問題、相当算、旅人算、還元算、消去算、通過算、過不足算を既存の模擬問題、検定問題等の中からそれぞれの問題とパターンを抜き出し、模擬問題10回分と検定試験問題6回分に振り分けました。文章自体の変更は概ねなしとし、文章の簡素化やパターン化になることを避け、検定を受ける技術のみが向上するより自分で考えることができる模擬問題、検定問題を完成させたいと思います。10月、12月の検定試験に間に合うよう進めてまいります。

■募集します

会員・関係者様からの原稿を募集いたします。

  1. 教室紹介
  2. 今だから始めたこと

I.M.事務局im@imsoroban.com まで、ご投稿宜しくお願い致します。

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