レポート174号 2020年4月

●巻頭言
大海を知らず

去る3月11日で、東日本大震災発生から9年が経ちました。行方不明、関連死を含めると2万5千人近い方々が犠牲になられました。心から、ご冥福をお祈り申し上げます。毎年、3月11日には慰霊のための集いがあちこちで盛大に行われますが、今年は寂しいものでした。中国で発生した新型コロナウイルス感染の拡大を恐れて、規模が縮小して行われたからです。
隣国の一地方都市で発生した新型感染症が、瞬く間に世界中に広まりました。日本も、もろにその影響を受けました。小中高校の春休みが、実質3月初めからになりました。いろいろな催し開催の自粛が求められました。収束の見通しも、まったくたっていません。グローバル化が進展し、世界が非常に狭くなったということが実感されました。
新型コロナウイルス感染症に対する施策が適切であったかどうかは、歴史が明らかにしてくれます。ともあれ、グローバル化が私たちの日常生活のあらゆる面で、密接に関わっていることを痛感しました。ですから、常に日本が世界の中でどのような位置にあるのかを、しっかりと知っておき、その情報をもとに、いろいろな行動を起こす必要もあると知らされました。日本だけを考慮して行動することは、グローバルの視点に立てば滑稽なことが多いことになります。
日本は経済大国であるといわれています。一国の経済の大きさを表す指標の代表的なものは、GDP(国内総生産)です。
GDPの第一位は、アメリカです(約19.4兆ドル)。2位は中国です(約12兆ドル)。3位は日本で、およそ4.8兆ドルです。以下、4位ドイツ、5位イギリス、6位インド、7位フランス、8位ブラジル、9位イタリア、10位カナダ、です。
日本は、GDP世界第3位の経済大国です。そのお陰で、アジアで唯一、いわゆる先進7か国に列せられているのです。また、私たちの日々の豊かな生活の基盤が支えられているのです。有り難いことです。誇りをもって良いことなのでしょう。この経済大国世界第3位を維持向上させることが、日本の平素の国家的施策の第一になっているようです。
GDPをその国の人口で除した、一人当たりの所得を比較すると、アメリカは世界第7位です。いわゆる先進7か国の一人当たり所得の順位を見てみると、ドイツ17位、イギリス22位、フランス21位、イタリア25位、カナダは16位となり、日本は23位です。7か国中6位ということになります。ちなみに、中国は72位、インドは140位、ブラジルは66位になります。
GDPは、多くの国民に支えられていることが分かります。国家間の戦争が起これば、GDPの大きさがものをいうかもしれませんが、日常生活を考えると、一人当たりの所得が低いことは寂しいことでは無いでしょうか。この世界の中の日本の現実は、しっかりと自覚しておくべきです。
一人当たり所得とは別に、国ごとの国民の間の所得格差があります。一つの国の全世帯の所得を順に並べて、上位より10段階に分け、それぞれの中央値所得を比較します。最富裕層の所得と最貧困層の所得との比を見てみます。数値の低いほど所得格差が大きいことになります。
米15.9  独6.9  英13.8  仏9.1  伊11.6  加9.4  日4.5 (国連資料)
これが経済大国といわれている日本の現実なのです。所得格差が非常に大きいのです。
相対貧困率というのがあります。全世帯の中で、所得中央値の世帯の所得に比し、所得が半分以下しかない世帯の割合を見るものです。数値が大きいほど所得格差が大きいことを示します。(OECD資料)
米17.09  独8.89  英11.42  仏7.04  伊12.9  加10.34  日15.24
日本は先進7か国の中、6位です。これも日本のおかれている現状です。情けない現実です。この資料で見ると、自由平等といわれているアメリカの相対貧困率が7か国中最大なのです。何事もアメリカを見ならうべきと考えている日本人が多いですが、このアメリカの現実にも、しっかりと目を向けるべきです。
日本のひとり親世帯の相対貧困率は50.8です。65歳以上の高齢者がいる世帯の相対貧困率は27.0で、高齢者男性単身世帯は36.4で高齢者女性単身世帯は56.2なのです。高齢女性の一人暮らしのかたの2人に一人は相対的貧困者なのです。(厚生労働省資料)先進国といわれている日本の、誠に恥ずかしい実情です。
ジニ係数というのがあります。所得や資産の分配の不平等度を測る指標の一つで、統計学的に処理されたものです。大きいほど貧富格差が大きいことを表します。(世界銀行資料)
米48.0  独28.3  英34.0  仏32.7  伊36.0  加32.6  日38.1
この指数をみてもアメリカの格差社会が如実に表れています。そして、ここでも日本は6位です。日本の格差社会の現実を明確に表しています。目を背けてはいけないデータです。
その人の努力が足らないから、所得が高くならないという考えの人がいます。しかし、冷静に考えてください。もし、すべての人が、今すぐ企業に役立つような資格などを完璧に取得したとすれば、所得格差は無くなるのでしょうか。宝くじはすべての人が購入可能です。しかし、購入した人すべてに特等が当たることは、絶対にありません。所得格差を生んでいるのは、このような今日の社会の仕組みなのです。
所得の多い人が、積極的に経済活動をすれば、特に何の施策をしなくても、いずれは低所得者にも所得がもたらされるという考え方があります。伝統的なものです。しかし、この考え方では駄目であると、相当以前からOECD から指摘されています。所得格差是正のためには、直接的な施策が講じられなければならないのです。
所得格差とともに良くいわれるものに男女格差があります。世界経済フォーラムが毎年発表している男女平等度指数というものがあります。男女平等度が高い順に並べた国別の順位を7か国で見てみます。(2019)
米53  独14  英21  仏18  伊76  加16  日121
相変わらず日本は極端に低いです。年々この順は、ほぼ徐々に下がっているのです。
ILO(国際労働機関)から、女性の管理職比率というのが発表されています。世界平均は27.1%です。7か国の国別順位は次の通りです。
米15(42.7) 独55(31.1) 英41(34.2) 仏24(39.4) 伊70(25.8) 加36(36.2) 日96(11.1)
国別順位(管理職の比率%)
この日本の男女格差社会の現実は、何ということでしょう。いまだにイクメンという言葉があるのも、おかしな話です。家庭内において男性が育児に携わるのは当たり前なのに、なぜ“男”だけの言葉があるのでしょうか。また、“女医”とか“女教師”等といった言葉が、いまだにまかり通っていることも恥ずかしいことです。選択性でも、夫婦別姓が認められないのはなぜでしょう。民主主義の社会なのですから、これではおかしいと、もっともっと大きな声を出しても良いのに、なぜ日本人は黙っているのでしょうか。
世界幸福度ランキングというものがあります。社会の多方面から見た色々なデータを組み合わせて導き出されたものです。(国連資料)先進7か国の順位は次の通りです。
米19  独17  英12  仏24  伊36  加9  日58
世界的に見て、私たちの幸福度はこの程度のものなのです。日本人は今満足しているのだから、これで良いではないかとお考えの方もおられるかもしれません。しかし、今回のコロナウイルスの事件でも分かるように、日本だけで良いのだという時代ではないのです。世界とのつながりは非常に密なものなのです。世界の中で日本はどういう位置を占めているかを常に知っておく必要があるのです。世界の色々な情勢を知り、その情報をもとに考え、行動を起こすべきなのです。
日本の世論で、もっと怒りのようなものが湧き上がっても不思議ではないのに、なぜ沈黙したままなのでしょうか。トイレットペ-パーが不足するというデマは、一瞬に日本中を駆け巡るこの時代に、“こんなことはおかしいではないか。いろいろな施策がおかしいのではないか”といった国民の声はあまりないようです。
国境なき記者団が、毎年、報道の自由度の国別ランキングを発表しています。昨年発表された、7か国の順位は次の通りです。
米48  独32  英33  仏32  伊43  加18  日76
日本が極端に低いことが分かります。日本のこの順位は、年々あまり変化がないです。民主主義制度の根幹は、構成員すべてに同じ情報が知らされているということです。一部の人だけが知っていて、多くの構成員が知らされていないところでは、民主主義は無いのです。報道の自由は民主主義の根本的な基礎なのです。これでは日本にはまともな民社主義はなく、形骸化した民主主義しかないといわざるを得ないです。
先程来、いろいろなデータを揚げていますが、これらは毎年、新聞の片隅に小さく載っているのです。このデータを知った時、日本のいわゆるマスコミは、これでは日本の国民にとってはいけないと判断し、緊急にキャンペーンを展開するということは皆無です。
日本では、マスコミは中立でなければならないということになっています。国民にとって具合が悪い結果のデータでも、それをもとにキャンペーンなどをしません。このような結果のデータで良いという考え方があれば、中立を保つために、キャンペーンなどはやらないということになります。数的に圧倒的に多い国民に寄り沿わないで、中立を保たねばならないような勢力とは何なのでしょうか。このような結果のデータで良いという勢力は、とてつもない大きな力を持っているということになります。
報道の自由度を極端にまで下げさす力を持っているものがあるということです。ここまで大きな力を持っているものは、施政者としかいいようがないです。日本は、一党支配政治をしている国ではないですから、あからさまに法律などで情報をコントロールしていることは、あまりないです。ですから、日本のマスコミは、世界に類を見ないほど、施政者に忖度しているということになります。
封建時代を終焉させて以来、日本人は平等な社会の構築を根本的に願ってきました。“人の上に人をつくらず。人の下に人をつくらず”なのです。“平等”から目をそらすことは、恥ずべきことなのです。
世界の中の日本の格差の現実を知っても、それを自分なりに咀嚼し、それに基づいて行動を起こさないということは、この現実を知っていることにはならないです。まさに“井の中の蛙”です。グローバルな大海を知らないのです。日本の今で良いのであるというなら、グローバルに出て行ってお金儲けをすることなど、きっぱりと止めるべきです。
知った情報を咀嚼できないということは、知恵の無い証です。ますます私たちの未来世代に対する使命を重く感じます。

理事長 荒木 光(京都教育大学名誉教授)
http://plaza.rakuten.co.jp/honkideeco
(2020.4.)

●ヒロヤの独り言

七転び八起き ~簡単に死んでたまるかい!!~

三カ月も「ヒロヤの独り言」の紙面を空けてしまい、ご心配をかけましたがおかげさまで4月6日に退院の目途が立ったことをここに報告させて下さい。
皆さんも私の様にならぬよう、生活習慣には気をつけて頂きたいと思います。
昨年の12月27日に倒れて病院に運ばれた時には、何で自分が病院にいるかもわからない状態だったが、今では記憶も意識もはっきりし、健康的な食事と睡眠をとれている。そのような訳で入院して間もない時は、〝知らない女性が病室にいる″などと思うこともあったが、病院に担ぎ込まれた当時のことを思い出してみると、その人は私が倒れているのに気づき119番通報をしてくれた人だった。そして本日、3月23日に退院の予定を看護師から伝えられた時、思わず涙がでてきた。病室は寝言といびきで寝られたものではなかったからだ。
今回のテーマは〝七転び八起き″だが、今起き上がったからには下宿を引き払い断捨離をして勉強会に進んで参加したい。予定と私の体調が狂わなければ間もなく退院できる訳だが、これから欠席せずバリバリやっていきたいと思っている。三カ月も病室にいると色々なことを考える時間が増える。その中で私が今、会員のみなさんに伝えたいのは〝大人が勉強することの意義について″だ。子どもに口で勉強しろというよりも大人が黙って勉強する姿を見せた方がずっと効果的だ。結局子どもは大人の姿を映す鏡なのだから。そして我々のような、生徒から月謝をもらって教育を施しているような者たちは義務教育の教員たちとは違い、教科書の内容を教えるだけと言う訳にはいかない。もちろん決して彼らのような教育者たちを貶しているわけではないが、我々は生徒たちを座して待つわけにはいかない。何を教えていくかを自ら学ばなくてはいけないのだ。
最後に、いびきでうるさい夜を耐え貫、病室生活を乗り切っていく意義は会員のみなさんと会える日が楽しみだからである。以前よりまた少し体は動かなくなったが、口舌は変わらず健康なので今後とも私の説教にお付き合いいただきたい。

2020年 3月23日
荒木 碩哉

●みたまそろばんアカデミー 授業風景


全員マスク着用で教室へ入るときに消毒をシュッと。席はこのくらい離れています。1授業での入室は最大8人までとしました。今はお迎え等での保護者の入室をご遠慮してもらっています。子どもたちはいつも通り元気で変わらず、しっかり練習しています。4月のIM検定試験も頑張ります!!

喜多 吉子

●教室紹介

【千葉県】川島珠算塾

何だかな~ 毎日・毎日コロナウイルスのニュースばかりで
姿が見えない・終息どころか・まだ感染のピークではない等
ニュースで見ているだけで つ・か・れ・た!

…てな訳で、暗くてどうでもいい事しか思い浮かばない。とてもレポートに載せられる代物ではない!が約束したのだからゴミに等しい駄文を送る。

先日、知人の老婦人がこのようなことを言っていました。
望んで今の状況になったわけではない。夫に急逝され年金だけではとても生活が出来ないので職を求めて70歳を目前に働いている。さらにコロナウィルスの感染拡大防止の為、仕事の時間が短くなってしまった。それは収入が減ることを意味している。ウィルスより生活。政府は子育て世代に援助をと言っているが、私はどうなるのでしょうか。
裏の小学校の学童ルームは早朝から大賑やか。お仕事があり、職場に出かけられる方は幸せ。子供たちも、校庭を駆け回っており、学校の一時閉鎖はどうなった?高学年と見受けられる児童は自転車に乗り、公園でサッカーに興じている。これだけなら、学校夏休みと同じ風景である。
今私は半分無職である。2教場のうち1教場を3月全休とした。この教場からは収入ゼロ。家賃・電気・水道の基本料金は支払わなければならない。覚悟の上での全休である。
JRの定期は半年で購入しているから、1カ月は無駄になる。
雑居ビル1階の飲食店のマスターは宴会が一件も無く、ランチもお休みをしていると言っていた。2階のカラオケ居酒屋のママはお客が来ない。先月も今月も家賃が払えるほどの売り上げが無いので休むわけにはいかないと開店休業状態を嘆いていた。
開いているもう一方の教場では、12坪の教室に私を含めて8名。手指をアルコール消毒し、全員マスク着用。老眼鏡が息で白くなり、そろばん面がかすむ。小学校の卒業式の話が出た。卒業式は「やる」そうだ。生徒の一人が“卒業式やらなくていいと言う。“どうして”と尋ねたら卒業したくない、“ずっと小学生でいたい”そうです。

さて、嘆いてばかりいられません。TVのワイドショー番組では、終息は予測不能と発言する専門家がいます。新型です。道の部分がたくさんあります。素人でも頷く説明である。背に腹は代えられず、知恵を絞って4月には可能なら教場を再開したいと思います。


自身が感染せず、もちろん感染元にもならない様、細心の注意をするのは
当たり前。指導を継続している教場では

➀ 教場の清掃・換気

市販の除菌スプレーを机やいすに噴霧。ドアノブも同様にしています。
使い捨ての不織布の雑巾が便利。授業中は窓を10センチ程あけてあります。

② 生徒の観察

顔が赤らんでいない(熱の有無)・咳・鼻水 体温計の準備(使用後の消毒)
手洗い⇒ アルコール消毒・マスク着用の徹底 子供用のマスクの常備。
生徒全員が自宅から教場に来ますので、外出前に自宅でトイレを済ませ、
うがいをしてもらっています。

③ 授業終了

生徒帰宅後は全ての窓を全開西、雑巾と除菌スプレーで掃除です。
早く、あんな事があったね。こんなこともあったねと話せる日が来ることを
祈っています。


当たり前に授業が出来る幸せ、普通のありがたさをしみじみ感じています。

2020年 3月15日
川島 君代

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