レポート170号 2019年12月

●巻頭言
豊かな環境調和型社会を子孫に残すために
改訂版

昨年から猛烈な異常気象が発生し、日本をはじめ、世界中に想像を絶する大被害を及ぼし、多くの尊い命が失われて来ました。近年の世界的な異常気象は、自然要因による天災だけではなく、これまで主として、人類の独断と偏見による地球破壊活動の相乗作用の結果であり、このままでは今後も永く続発することが心配されています。人類の豊かな未来を拓き、安全で平和な地球環境を子孫に伝え、人類の持続可能で豊かな環境調和型社会を構築することが世界中の全人類に課せられた緊急を要する最重要課題となりました[1]。
このような、人為的な地球温暖化の主原因は、急激な世界人口増加とともに各自が豊かな生活を求めて地下資源(化石燃料)を大量消費してきたためであると考えられます。既に2018年7月には世界人口が遂に75億~76億人に達したとの報告があり、国連の予測データでは、2050年に98億人に達し、2100年には112億人にまで、さらに加速的増加を持続する見込みとされています。産業革命以来、世界人口は約10億人(1800年頃)から1927年に約20億人、1974年に約40億人にまで増えました。
地球環境の観点からも、このような世界人口の持続的増加が、さまざまな地球環境の悪化を招くことが心配されています。主な地球環境問題としては、以下の各項目が挙げられます[1]。①地球温暖化問題(炭酸ガス、エネルギー問題)、②オゾン層の破壊(フロン系ガスによる紫外線量の増加)、③酸性雨・硝酸雨(硫黄酸化物や窒素酸化物による農地や河川の荒廃)、④海洋汚染(油汚染、化学物質、投棄プラスチック類の海洋漂流激増)、⑤熱帯雨林の減少(乱開発、パルプの大量消費)、⑥砂漠化(森林の伐採、水不足)、⑦野生動植物の減少(生物多様性の危機)、⑧有害廃棄物の越境移動(バーゼル条約)、および⑨途上国の公害問題(経済優先、南北問題)などがあります。これらは全て、我々の日常生活そのものが原因なのです。持続可能な社会を構築して行くために、今や、国際的にも国内的にも挙げて取り組んでいる最大の課題が地球温暖化問題であります。温室効果ガスが人類の化石燃料の大量消費で発生して、海水温度が高くなり、人為的な異常気象を誘発する主原因となり、人類の生活様式が問題とされています。2050年位までに地球気温が現在より摂氏2度以上上昇すれば、地球生態系に極めて大きな影響が生まれ、食料飢饉や温帯性気候の亜熱帯化など壊滅的な影響を受けることが国際機構IPCC(1988年成立)でも指摘されました。既に国際的な協定として京都議定書(1997.12)やパリ協定(2015.12)として締結され、世界の平均気温上昇を極力抑え、温室効果ガスの排出を21世紀後半までに実質ゼロにするための努力が義務づけられましたが、最大の被害を産み出している大国のエゴでその効果は全く期待できない有様です。
これからの地球環境を積極的に改善して行くためには、全ての人類社会が参加し、国際的な協力体制をさらに厳密に構築することが必要ですが、各国の指導者達や行政、専門家達の責任に任せるだけではなく、人類社会の豊かな未来を拓くためには、全世界の各個人が、それぞれ責任を持って自分でよく考え、知恵を集約して行かなければなりません。特に、若い世代には将来を見据えて真剣に地球環境問題について考えて頂きたいのです。
大量生産と大量消費に明け暮れた20世紀後半の先進工業国のツケとして大量ごみが山積し、莫大なエネルギー消費と相俟って地球環境破壊が進んできました。その後、世界規模での見直しが行われ、3R運動(Reduce, Reuse, Recycle)が提唱されました。一般廃棄物・産業廃棄物の中でも最も問題となったのがプラスチックなど、生態系にとっては異物である人工有機化合物から重縮合反応で得られた合成高分子の廃棄物(プラごみ)であり、埋めても腐らず、燃やすと有害ガスを排出して大きな社会問題となって来ました。OECD(経済協力開発機構)によると、2015年の世界のプラごみ発生量は3億トン以上で1980年代と比較して6倍に増え、その約半分は使い捨てのプラスチック製の包装・容器であり、中国の発生量が約4千万トンと最多ですが、1人当たりの発生量では米国に次いで日本は2番目に多いと報告されている事実は反省を要する問題です。
他方、日本では早くから不完全ながら、プラごみの回収制度が整えられて来ましたが、世界的には未だ徹底されていません。プラごみ回収システムが未成熟で海洋に面した地域では海洋プラごみの排出源になっています。しかしながら、海洋プラごみの問題は一国内で完結しません。これまで、日本国内で回収されたプラごみの4割以上が主に中国で処理されてきましたが、現在は中国の受け入れが停止されて、日本の港などには未処理のプラごみが山積している始末です。海外での処理には、不適切な扱いにより環境汚染の問題も指摘されています。国連の調査などによると、海中のプラごみの80%が河川から流れ出したものとされ、日本でも全国の川ごみとして4千万本のペットボトルが国内の河川に散乱していると言われています。現在、深刻な海洋汚染につながるプラごみを削減する国際的な取り組みが加速しています。日本も、行政ではレジ袋の有料化義務づけの他、使い捨てプラごみの排出量の25%削減を目指す検討に着手、プラ製ストロー廃止も動き始めています。
これまで日本政府は、コストと便利さからプラスチックの使用量を減らすより、これまではプラごみの削減策として3Rの中で、Recycle(再生)を重視して来ました。しかし大量の散乱ごみや回収ごみの再生能力にも自ずと限界があります。国内では、回収された一般廃棄物の約8割は焼却され、プラごみを焼却した熱を何とか工場で使うサーマルリサイクルが処理方法の6割近くを占めていますが、あくまで緊急避難措置に過ぎません。これからは、Reduce(削減)やReuse(再利用)を積極的に進めていく必用があります。日本には本来、質素倹約を美徳とする風潮がありました。倹約の心は、国民として独自に育てることが出来るものであり、再生のように組織や技術に依存する必要もありません。そして、一般廃棄物として家庭から出る燃やせるごみの約半分はプラスチックや紙の容器・包装材のごみであることが報告されています[3]。脱プラのためには、例えばRefuse(辞退)を加えた4R運動を展開することも必要でしょう。最早、消費者のモラルや意欲に頼る現在のプラごみ回収制度では解決できません。例えば、レジ袋の有料化やデポジット制など消費者や事業者にも責任を負担させるとともに、事業者と消費者が積極的に協力して取り組むシステムの構築が必要となります。さらに、最近では自国の政権とは関係なく自治体や企業グループが主導権を発揮させて、お互いに手を組んで環境問題を解決しようとする動きが出てきたことが報道され、日本でも大企業を中心に自治体も真面目に取り組みを進めています。これからは、消費者も独自に倹約の心で、レジ袋はもらわない、プラ容器・包装を使った商品や使い捨て商品を敬遠して、詰め替えタイプの製品を選ぶ、マイボトルを携帯してペットボトルの消費を抑えるなど、自分から良く考えて持続可能で健全な未来の地球環境を子孫に伝えていくことが大切となります。
人類は霊長類の中で初めて直立二足歩行が可能になり、両手が自由になりました。ゴリラやチンパンジーは最も人類に近く、五感(視角、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)も殆ど同じとされています。人類も、五感で世界を認識してきました。それにも関わらず、人類が異常に大きく発展できたのは家族と共同体を持つ二重構造の社会を創造したためです[3]。その中で、それぞれがお互いに五感をさらに磨き上げて来たためであります。さらに、人類のみが持つ言葉は五感を共有するための手段(シンボル)として大きな役割を果たしました。共同体は、複数の家族で過去に一緒に体験を共有した人数、生きて行く上で頼りになる人数で構成されています。そして五感に基づく共感能力によって達成されたお互いが強い繋がりのある集団なのです。そして、人間だけが持っている大脳新皮質の前頭葉の働きを高める段階では、共同体の役割が一段と大きくなり、教養を身につけ、本人も自覚が芽生え、意欲・創造の精神を育成し、自分自身を確立して行きます。第六感(鋭く物事の本質をつかむ心の動き)を正常に育てるためにも、早期から共同体の中で十分に五感を鍛えることが大切なのです。
現代社会で解決すべき課題が山積する中で、最大の基本となる問題点は、家族と共同体の二重構造の社会が崩れ始めていることです。複雑な現代社会で最も大切な家族の繋がりが希薄となり、共同の子育てがなくなり、共食の機会が激減したため、共同体の中でも五感による情報交換が不安定になり、個人が人間社会に裸で放り出されてしまうことになりました。五感による共感力を持たないまま、人間関係が極めて希薄な不安定社会の出現です。
これらの課題を解決するためには、例えばもう一度、しっかりと人間性を育てる珠算塾という共同体の中で、早くから五感を磨き、自ら良く考え、直感力(第六感)と共感力を豊かにし、意欲を自由に伸ばし、創造の喜びを体験することが必要です。そして、本稿のテーマである地球環境の改善のためにも、一個人として今何をすべきか、たとえ細やかなことでも、自分で独自に考え、実行する意欲を豊かに育て上げるには珠算学習の経験が大きな力を発揮することを信じて、今から力強く前進されることを心から願う次第です。
話題を変えますが、日本は地下資源も少なく化石燃料類は他国からの輸入に頼って参りました。しかし幸いにも、日本は世界に誇る緑豊かな森林(バイオマス)をもつ国であります[4]。筆者もこれらの植物系資源を活用して何か人類に役立つ素材(バイオマテリアル)を開発したいという夢を持つに至ってから60年が過ぎました。ここで、時間の許す限り、バイオマテリアルの過去と将来について考え直してみたいと願う次第です。次回からは可能な限り原稿に纏めて提出させて頂きます。何卒宜しくお願い申し上げます。

IMそろばん名誉会員
大阪府立大学名誉教授
林 壽郎
(2019.12.)

●ヒロヤの独り言

2019年も間もなく終わろうとしている。私が関係しているハワイ教場で創設以来37年間、一途に指導してくれた大島校長が、この度12月27日、家族共々日本へ珠算教育についての講演に来る予定である。
過去に、ハワイへそろばん教室を見学に来られた先生の大半が大島校長の世話になっておられると拝察する。
37年前に、ハワイでそろばんスクールを開設した。時を同じくして中国の先生方が日本へ研修に来られた。その当時、私はお手伝いでその会議に出席した。全珠連の先生方は、荒木と大島は間もなく尻尾を巻いて日本へ帰って来ると他言していた。そのような噂が立っていた。
当時、中国に於いて世界珠算会議が開催された。その時、中野敏夫先生はそろばんの日本代表であり、私はアメリカの代表として会議に出席した。私と中野先生が世界の珠算教育を引っ張って行った時期のことである。
さて、今日、ハワイでのそろばんはどうだろう。おこがましいが、アメリカ一である。
来る12月27には、先生方みなさん大変お忙しい時間ではありましょうが今後そろばんを世界のみならず(日本のみならずともいう)必要とする子供への指導法(珠算指導者の為の、数に対する認識の指導法)をお聞き願いたい。是非ご出席いただき、今後のそろばんで子供たちへの指導法として取り組みを願いたい。いかに大切であったかがご理解いただけるでしょう!!
この指導は、大島先生が大学を卒業すると同時に渡米し、荒木と大島の同級生である恭子(やすこ)先生とアキヒロヤソロバンスクールの指導(現在のI.M.式そろばん教授法)として、ハワイで実行したものである。
大島によるその後の授業法をこの度、皆様へ講演させていただく次第であります。
まずは、アメリカの珠算指導法をお話しする。日本のそろばんを大切に思う先生方には是非お聞き願いたい。

2019年12月 N.P.O.法人I.M.そろばん 副理事長 荒木 碩哉

●事務局だより

記念!第60回IM考えるそろばん検定試験

IM考えるそろばん検定試験は、第60回となりました。
この60回を記念して、検定試験受験者に合わせた、次回に使える模擬問題を受験者お一人につき1冊ずつプレゼントしたいと思います。第60回12月検定、61回2月検定、62回4月検定まで連続して行いますので、この機会に是非、IM考えるそろばん検定試験の受験をお勧めいたします。
IM考えるそろばん検定試験は先生方の各教場で受験できます。Step18以上は検定試験マニュアルがありますので、ご希望がありましたら事務局までご連絡をお願い致します。

グローバルそろばんオリンピック開催予告

日 時  令和2年3月15日(日)10時~
会 場  市民会館うらわ (埼玉県さいたま市浦和区仲町2-10-22)

計算はもちろん、文章題、英語の力が付く
グローバルそろばんオリンピックに参加しよう!!

会員ページ ~教室紹介~

IM会員のみなさまのお教室紹介を募集致します。授業の様子や、季節のイベント、こんなアイデア!またエピソードなどありましたら、セミナーレポート教室紹介に掲載させてください。今月は埼玉県の関根先生のお教室です。

【関根そろばん教室】

埼玉県飯能市に24年前11月に開塾し、今年で25年目を迎えました。
今年三月には近くにムーミンのテーマパークもでき、晴れた日には富士山がきれいに望めるのどかな地です。現在、年中さんから中学生までの生徒が元気に通い、IMそろばんで学んだことを活かして、授業をしております。
教室の特色はIMそろばんで学んだ内容を盛り込んで指導しています。
英語での読み上げ算、名数の助数詞をつけて読み上げ、計算した答えの端数処理、単位換算や補数(おつり)などを学習しながら授業を進めています。初歩から、珠算・暗算同時指導を取り入れ、どの子にも一生の宝「珠算式暗算」を身に付け、「IMそろばんの特色」そろばん「も」できる子を目指し日々精進しております。

チーム対抗戦

夏の夕涼み会 など…

素敵な写真がたくさんありましたが、個人情報保護の為割愛しています。
是非、セミナーレポート本誌をご覧ください。(編集担当)

I.M.そろばん 事務局
喜多 吉子

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