●巻頭言
“巨大IT企業の規制”
「GAFA(ガーファ)」「プラットフォーマー」といった言葉が、最近のニュースで頻繁に登場する。「GAFA」は、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・コムの頭文字だ。これらの巨大IT企業は、インターネットでの検索や交流サイト、通信販売などのサービス提供を通じて、膨大な取引データを握るため「プラットフォーマー」とも呼ばれる。これらの企業の活動を規制しようという動きが、日本はもちろん全世界で広がっている。
パソコンやスマートフォンで遠方や海外の友人、知人と交流する場を提供してくれたり、調べものの検索で仕事や勉強を手助けしてくれたり…、しかもほとんどのサービスが無料で…という具合に、今や「GAFA」のサービスは生活や仕事に不可欠な社会インフラとなっている。
「GAFA」と呼ばれる4社は、起業家精神が根付いている米国で、20代、30代の青年が主導して誕生し、インターネットの普及を背景に急拡大した。グーグルの1時間当たり検索件数は2016年に平均2億3000万件、米アマゾンの年間売上高は18年に日本円で約26兆円、フェイスブックの利用者は18年末で約22億人に上る。
一方で、「GAFA」には最近、横暴な態度が目立っている。
例えば、取引先事業者に一方的な「下請け構造」を強いている実態がある。公正取引委員会の調査によると、オンラインモール運営事業者による一方的、不利益な規約変更をした事例は、アマゾンで約70%もあることが判明した。規約変更の一方的な通知のみならず、利用できる金融機関や配送業者を制限することもしばしばあるという。
「プラットフォーマー」は、自社が提供するサービス利用者の検索や購買の履歴、氏名、性別、年齢などの属性、位置情報などを収集し、効果がありそうな人のスマホやパソコンに広告をだす「ターゲティング広告」をしたり、自社製品の販売戦略に活用したりしている。こうした個人データの収集、利用などについて「懸念がある」との回答が75・8%に達したという公取委調査結果も出ている。ビジネスにとどまらない。中国では、データ
を活用して共産党政権の統治・強化を図っている、と言われる。
「プラットフォーマー」は規模の優位性で利用者を集め、さらに便利になるネットワーク効果をフルに活用する。事実上他社の参入を阻んだり、利用者が他社に乗り換えにくくなったりして、公正な競争が阻害される可能性がある。
独禁法が禁ずる「優越的地位の乱用」がはびこっているわけだが、これを対個人取引でも適用できる可能性がある。ドイツの独禁当局である連邦カルテル庁は19年2月、国内シェア95%という独占的地位を利用してフェイスブックが利用者のデータを収集・活用したことは、優越的地位の乱用に当たるとして、データ収集の制限を求めた。
データ収集を巡っては、個人情報保護の観点からも批判が高まっている。フランスのデータ保護当局は19年1月、「個人情報の扱いを巡り利用者からの同意を取り付ける際の手続きが不適切」として、グーグルに制裁金の支払いを命じた。
海外プラットフォーマーの中には、日本で巨額の収益を挙げながら、日本企業並みの納税をしていない「税逃れ」も、あるといわれる。これも「横暴」の最たる例だ。
「GAFA」だけでなく、もちろん楽天や日本ヤフーにも優越的地位の乱用がみられると、公取委などは指摘している。ともあれ、巨大IT企業に対し、行政が野放しにするわけにはいかない、という声が、政府や関係者の間に強くなっている。
このため、政府・自民党は巨大IT企業を規制する新法制定などを検討している。ただし、「GAFA」はすでに、国家の枠を超えて巨大化しており、日本国内で規制の網をかぶせても、実効が挙がるか疑問視する見方もある。
例えば、民泊ビジネス。未届け出の物件に外国人旅行者が宿泊して問題となっているが、多くは海外のプラットフォームやアプリのサービスを使っている。これを規制しようとしても、やりようがないのが実情だ。こうしたケースでは、日本国内しか適用できない法律を作っても無意味だ。
IT企業などで構成する「新経済連盟」(代表理事=三木谷浩史楽天会長兼社長)は「新法ではなく、業界の自主規制で対応すべきだ」と訴えている。しかし、自主規制の場合、「GAFA」は参加しない可能性が高い。プラットフォーマーには事実上、国境の壁はない。「規制」という網をかぶせるためには、国際的な協調体制を取らないと、実効性は確保できないのだ。
日本は、巨大IT企業に対して「負け組」意識が強い。平成の30年余、日本は情報通信産業で後れを取った。すでに挽回できないほど差をつけられている。しかし「GAFA」を黒船に例えるだけではなく、日本企業も海外に打って出るような産業振興策を、考えるべきであろう。その為には、巨大IT企業の規制のみに傾斜するのではなく、海外勢に対抗できる環境づくりにも、知恵を張り巡らせるタイミングである。「令和」時代には、それが不可欠だ。
副理事長 猪熊 建夫
(2019.5.)
●ヒロヤの独り言
最近、ハワイの日系2世の文章が投稿された。最近のトランプ大統領の横暴ぶりを指すのが主な目的であった。それは彼の記憶をたどって文章が作成され、投稿されていた。
ハワイは合衆国の中で50番目の洲である。彼の記憶によると当時の合衆国の大統領は一方的に全洲のうち、ハワイを50番目の洲にしてしまった。
当時、青年だった沖縄出身者・日系二世に対し、合衆国がやっている政策をなんら理解もさせずに、真珠湾を海軍の基地にしてしまったり、裏オアフの日系人が苦労して耕したサトウキビ畑を空軍の滑走路にした。当時の日系社会の人々に何の了解もなしに一方的に基地にした。
当時の日系社会の間では、ハワイは一方的に土地の値段が上がったり、交通の要になったりして住みにくくなると一部の日系人に対し、出身地である沖縄県などに帰国するようなニュアンスを見せたそうだ。
今日のトランプ大統領は当時の大統領と生き移しである。今日の日本の土地がそうではないが、経済がトランプに一方的に占領されているように思える。トランプ大統領は一方的にフランスの株を買い占め、日本の政府に売りつけるのではないだろうか。
昭和20年代、終戦後、アメリカ合衆国が敗戦国日本に一方的に押しつけたように、ことを運ぶのではないかと今から心配だ。確かに一方的に侵略されていた沖縄県や小笠原諸島は自国の負担が大きくなり過ぎて日本に返還された。トランプは経済的効果を判断し日本へ返還した。ロシアは、北方4島を我が国に返還しない。ロシアの一方的な態度に不可解である。
今日の世界情勢を見ているとキリスト教とイスラム教のもめごとを見ていると間もなく第三世界対戦が勃発するのではないだろうか。
2019年4月 荒木 碩哉
●事務局だより
N.P.O法人I.M.そろばん通常総会のご案内
記
日 程 平成31年 7月 7日(日) 第14期 総会開催
会 場 北区 滝野川会館 303集会室 ■東京都北区西ヶ原1-23-3
最寄り駅
・JR京浜東北線
上中里駅(王子駅となり)東口下車 徒歩7分
・JR山手線
駒込駅北口下車 徒歩10分
・東京メトロ地下鉄南北線
西ヶ原駅下車 徒歩7分
・コミュニティバス
王子・駒込ルート⑪⑰旧古河庭園 徒歩1分
田端循環ルート⑪滝野川会館 徒歩1分
理事会 10:00 ~
総 会 13:00 ~ 14:30(休憩)総 会
講演会 15:00 ~ 17:00
講 師 和算研究家 佐藤 健一先生
『今、学校で何が起こっているのか…』
※講演後、講師を囲む会があります。
I.M.そろばん 事務局
喜多 吉子