レポート162号 2019年4月

●巻頭言
“今の自分さえ良ければよい”

今年の冬も、全国的にみて、例年通りとはいえなかったようです。北陸、東北や北海道地方はそうでもなかったようですが、東日本と西日本は雪が少なく、暖冬傾向が強かったようです。
それでも春はやってきています。例年より早く来たところが多いようです。樹々は、いつも通り、芽づいてきています。常若の息吹が強く感じられます。とりわけ、この5月1日より新元号になるので、常若の思いを一層強く感じます。
M9の東日本大震災から8年が経ちました。犠牲になられた方々のご冥福を、改めて、心よりお祈り申し上げます。まだまだ復興も終わっていないようですが、昨年はM6を超える地震が2回もありました。2018.6.18.の大阪府北部地震と2018.9.6.の北海道東部胆振地震です。いずれも多くの犠牲者が出ました。心よりのご冥福をお祈り申し上げます。
昨年の地震の震源には、少し気になるところがあるようです。いずれも、一般によく指摘されていた、既知の大きな活断層ではないところが震源であったようなのです。その結果、全く予期しない地震であったと思った人が多かったようです。
多くの大陸プレートがせめぎあっている日本列島周辺では、全く予期しないところで地震が起こる可能性が非常に強いということなのでしょう。日本列島の何処でも大きな地震が起きる可能性があるいうことなのです。
東日本大震災から8年経った今日、問題として大きく残されていることのひとつに、原発の問題があります。原発被災地域が、なかなか元に戻らないです。被災住民の困難な生活が続いています。また、被災を受けた原発の廃炉が、あまり進んでいないです。広島、長崎と第五福竜丸と、世界にも稀な放射能による被災を経験している日本が、今また原発による被災を経験し、それに伴う解決の見通しが、全くたっていないのです。
地震によって、原発が大変なことになるという経験をしたのです。さらに、日本中どこでも大きな地震が起こり得るという経験もしたのです。それにもかかわらず、原発の全廃を実行しようとしないのです。現在の快適な物質文明からの恩恵を受けられなくなるかもしれないという危惧が、原発全廃を躊躇させているのでしょう。
天然状態では、生物に全く害がないものを、わざわざ、多くの資源を使って濃縮し、原発の燃料にしています。濃縮した結果、そこから多くのエネルギーを得ることが出来ますが、一歩誤れば人間の手では制御できない状態が起こります。地震の被害に遭うことは、その一つです。それは、何時、何処で起こっても不思議ではないことなのです。
とてつもなく多くの資源を使っている原発、一旦ことが起これば、人間の手におえない原発であるにもかかわらず、全廃できないのは、今の快適な生活を捨てられないからです。この快適な生活を享受することが、人間として当然だと思っているので、これが人間らしい生活だと信じているのです。“今の自分さえ良ければよい”と考えているのです。
この考えのせいで、地球環境問題も全く解決する気配がないのです。ひょっとすれば地球環境は駄目になるかもしれないと思っていても、自分の生きているうちは大丈夫だと思っている人も多いです。地球環境が駄目になった後がどうなるかは、考えようとしないです。“今の自分さえ良ければよい”と考えているのです。
はっきりとそう考えていないと思っている人でも、今の快適な状況をきっぱりと拒絶し、その考えに基づいた行動を起こさない人は、“今の自分さえ良ければよい”と考えているのと同じことです。地球環境破壊に積極的に手を貸していることになるのです。
『地球環境概況第6次報告書』が、2019.2.に国連より発表されました。その中で、世界の環境劣化に歯止めがかからず、このままでは国連の持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定の目標(温室効果ガスの削減目標)の達成は困難と述べています。
「良好な地球環境が経済的繁栄や人間の健康と幸福の基盤である」にもかかわらず、地球環境の破壊が止まらないので、持続可能な開発の目標が達成困難になったのです。
“飢餓の撲滅  予防可能な乳幼児死亡の根絶  安全な水と衛生へのアクセス  近代的なエネルギーへのアクセス  都市の大気汚染の改善”などの目標は、進展はあるが、達成には不十分であるとしています。
“水質の改善  気候変動の抑制  海洋汚染の軽減  土地劣化の防止と生物多様性損失の阻止”などの目標は、達成から遠ざかっているとしています。
地球環境の破壊は止めることが出来ていないのです。温室効果ガスの削減目標の水準は、必要な削減目標の3分の1でしかないのです。プラスチックごみによる海洋汚染は、すべての海域に広がってしまい、人間の健康などに悪影響をもたらしているのです。絶滅危惧種の数が増え、1970年~2014年の間で、脊椎動物種の数が60%も減ったということです。快適さを求めたいという人間の行為が、多くの生物種を滅亡させたのです。生物の多様性の損失が深刻であるのです。
人間が、資源を循環できるような使い方をしなかったから、地球環境が破壊されたのです。資源を循環的に利用してきた生物だけが、生き続けてこられているのです。地球環境を破壊から守れるのは、人類が資源を循環的に使うようにするしかないのです。それが出来ないのは、快適な生活を止めることが出来ないからです。
地球温暖化問題をはじめとする地球環境破壊の問題や、『地球環境概況第6次報告書』について、新聞などでは載ってはいます。これは人類存亡の危機の大問題です。それにもかかわらず、新聞をはじめとする、すべてといってよい日本のマスコミは、この問題を大きく取り上げて、何とかしようといったキャンペーン等をする気配は全くないです。
たまに、これらに関連するようなことを取り上げた芸能人(芸人、タレントなど)がいると、彼らの活動にはふさわしくないことをしている、という論調で報道しています。芸能人の活動がどうあるべきかは分かりませんが、芸能人である前に、未来に責任を待たなければならない大人の人間なのです。欧米ではそのような発言をしている有名人は、数多くいます。日本では圧殺されているようです。世界的に見て、日本の報道の自由度が極端に低いのは当然なのでしょう。〔報道の自由度(国境なき記者団発表)2018年日本67位 先進7か国中大きく離れて最下位〕
地球環境を破壊しながら、大量の資源を輸入し続けることで、日本人の快適な生活が維持され続けています。将来、地球上の資源枯渇が近づいてくると、資源輸出国が自国消費を優先させるようになり、日本への輸出が止められれば、日本人の快適な生活は、維持し続けることが叶いません。そうなると、日本列島では、1億2千万人の生活は維持し続けられないです。
過去に、資源が無くなって滅びた文明がありました。そこで生き残った人口が1割くらいでありました。そうなると、日本人のおよそ一億人以上が、生き続けられないということになります。その原因は、現在の日本人が快適な生活をしている、ということになります。現在の日本人は、未来の日本人を大量殺戮したことになります。しかし、私達、現在の日本人は、罪にはなりません。
地球上の資源の枯渇はやってこないという考えもあります。なぜなら、その前に地球環境の破壊により、文明は滅びるということです。いずれにしても、生き続けることは叶わないということになります。
ネイティブアメリカンの中で、新しいことを行う時、7代先の子孫にどのような結果をもたらすかを考えて結論を出すという人々が居たということです。生き続けるための知恵です。知識を大量に持っていても、知恵の無い日本人には考えが及ばない生き方です。
“今の自分さえ良ければよい”という考えでは、地球環境の破壊は止められないです。日本人が生き続けるために、可能な限り、日本の未来を担ってくれる子供たちに、できるだけ知恵ある人間になってもらうようにするのは、今生きている大人の、重大な責務ではないでしょうか。

理事長 荒木 光(京都教育大学名誉教授)
http://plaza.rakuten.co.jp/honkideeco
(2019.4.)

●ヒロヤの独り言

私はアメリカ人になりきれただろうか

最近、一郎選手の引退記者会見を見て、過日ジャイアンツとシアトルマリナーズの親善試合の終了後、対談記者会見が行われた。その時、2~3気が付いたとこについて述べてみたいと思う。
彼は、約19年近く、アメリカで野球選手をしていた。記者会見の当日、東京でジャイアンツと試合を行った。終了後対談記者会見を行った。私も海外で37年間そろばん授業を行っているので、海外で指導するそろばんの考えと共通するところがあったので記してみようと思う。
彼は、海外で19年余り野球をしていたが、アメリカ人に同化しようとはしなかった。私は、一日でも早く永住権を取り、アメリカ人と同じ生活をしようとした。彼の記者会見の内容を聞いてみると、我ながら少し恥ずかしい気持ちになった。私はまず、最初に永住権を取得し、アメリカ人と同じ生活をしようとした。しかし、一郎は自分の野球哲学を貫こうとして日米の野球の違いを知り、自分の野球学のほうが優れていると受け止め、それを貫こうとした。その考えは寸分の違いも無いことを理解した。引退するに際し、一郎の野球哲学は一つも迷うところがなかった。引退するに当たり、日米の野球の違いを述べるのではなく、シアトルマリナーズと、一郎個人の野球哲学の違いを述べ、記者団に説得させた。
一方私は、ハワイの生徒の親は、相対的に言うと、そろばんの良さをかなり研究し、そろばんの良さを十分理解し入学をさせていた。相対的に保護者は、小学校の先生、中・高の先生または、大学の先生が多かった。子供を説明する以前に保護者を説明するにあたり、80%以上がそろばんを理解していた。特に驚いたのは、十進法で指導するのにも関わらず、5の合成分解を指導することについて、やっと理解したように思えた。
一郎はそろばんについて特別な考えを持っていなかったにも関わらず、あるテレビ番組で自分のグループの合計を瞬時に出していた。後日、愛知県の先生にその話をするとその先生は、一郎は暗算がよくできるんですよとお返事された。
一朗は、テレビに出演をして、自分のグループの得点を瞬時に合計を出したそうだ。詳しくは分からないけれど、どのぐらいの実力か知りたかった。会見は一時間半あまり続いて終わったのであるが、一郎の野球哲学を説明するにあたり、いささかもお涙頂戴の場面はなかった。最後に、奥さんが作ったおにぎりについての感謝を記者団に披露した。
総じていうと私は、一郎選手より長くアメリカに滞在しているのであるが、一郎の野球哲学とアメリカの野球哲学との違いが分かった。私のアメリカにおける珠算哲学は、アメリカ人の中にハワイの保護者が大半、教育に関する職業が多いので、珠算教育について理解が速い。一郎の対談の記者会見を見ているといささかの悲しみもなかった。彼が選手交代でベンチに帰って来るとアメリカの選手が泣きながらハグをしていた。恐らくアメリカの野球哲学よりも一郎の哲学のほうがアメリカの選手の心を打ったのであろうと思われる。将来とも一郎は日本に帰らずアメリカで一郎野球を普及するのであろうかと思われた。

2019年4月 荒木 碩哉

●事務局だより

【お詫びと御礼】

I.M.事務局より3月5日発送されるべきセミナーレポートが、種々の件に伴い、半月遅れにて発送となりました。深くお詫び申し上げます。
この度、4月号162号につきましても担当一同の協力のもと、発行・発送させていただきました。ご協力ありがとうございました。

理事会・定例総会のご案内

拝啓 新緑の候、会員各位におかれましては日々ご健勝のこととお喜び申し上げます。
下記の通り、理事会及び定例総会を開催いたします。
総会は会員各位の発言する大切な場であり、出席は義務でもあります。ご多忙中とは存じますがご出席賜りますようお願い申し上げます。

日 程  平成31年 7月 7日(日) 第14期 総会開催
会 場  東京都北区 北とぴあ
※JR京浜東北線 王子駅下車徒歩3分

10:00~   理事会 (801号室)
13:00~   総 会 (805号室)
15:00~   記念講演
講 師 和算研究家 佐藤 健一先生
『今、学校で何が起こっているのか…』

4月から始まる算数教育についてご講演をいただきます。教育が変わっていく中、私たちに何ができるのか?そろばん教育にどう活かせるのか?
会員全員でお聞きしましょう。
ご講演後、講師と語る会が開催されます。会員皆様の遠慮のないご質問にきっと新年号に見合う、そろばんの今後の「教育の芽」についてご教授いただけると確信いたします。

I.M.そろばん 事務局
喜多 吉子

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