レポート156号 2018年10月

●巻頭言
ろうそくを灯す

2018.09.06.03.08.に平成30年北海道胆振東部地震が発生しました。マグニチュード6.7、最大震度7(厚真町)でした。マグニチュードは2011年の東日本大震災(M9)に比して小さかったですが、最大震度は同じでした。
大きな地震でしたが、多くの山が崩落したことと、札幌市内の住宅街で広範囲に液状化が起きたことが大きな特徴でした。震源地近くの山が多くの個所で崩落し、上空から撮影した山々の形状は、今まで見たことが無いものでした。山々の崩落では多くの方々が亡くなりました。ご冥福をお祈り申し上げます。
今回の地震でも、多くのライフラインが途絶えました。中でも、一時、全北海道の電気が停まったことは驚きでした。いくら大きな地震でも、その直接的な影響が北海道全土に及んだわけでもありません。しかし、停電は全北海道に起こったのです。
地震の直接的影響で、大きな火力発電所が操業できなくなり、そのせいで、北海道における電気の需給バランスが大きく壊れたので、電気の供給が自動的に停まったのだそうです。問題の火力発電所の復旧には手間取るようで、北海道全土の電気の需給バランスの回復には、相当時間がかかりました。
北海道胆振東部地震の2日前2018.9.4.に、西日本中心に台風21号が直撃しました。稀にみる強い勢力のままの上陸でしたので、多くの被害がありました。亡くなられた方も居られました。ご冥福をお祈り申し上げます。
住宅等々の被害はもちろん、京都では多くの文化財が大きな被害を受けました。私が小さい頃に遊びまわっていた西本願寺の境内にある土塀なども、崩壊するなどの被害に遭いました。もちろん、多くの個所で、ライフラインも止まりました。
誠に皮肉なことに、この二日後に北海道胆振東部地震が発生しましたので、台風21号の被害が未曾有であったのに、全国的にはあまり注目されないようになりました。地震による大きな被害状況を知ると、自分たちは、まだましである、と納得してしまいます。
拙宅は直接的な被害はありませんでしたが、27時間余に及ぶ停電を経験致しました。大人になってから、これほどの長時間の停電は、あまり経験したことがありませんでした。幸い、水道やガスは停まりませんでしたので、生活に大きな支障が出ることはありませんでした。
エアコンをそれほど必要としない程度の気候でしたから、良かったです。しかし、冷蔵庫が、一日以上停まったことは、困りました。冷凍庫に保存していた食料品が解凍しますので、すぐに食さないでも、火を入れて、何か調理しておかなくてはならなかったです。常備菜的なものが大量にできたと思えば良いのですが、すっかり段取りが狂いました。
明かりが無いのですから、夜になると大変困りました。最近のLEDの懐中電灯でしたら、結構長時間点灯させることが出来るようです。しかし、豆電球式の懐中電灯しかなかったので、長時間の点灯が出来ませんでした。仕方なく非常用に用意していた、ろうそくに火を点けました。
ろうそくの灯では本を読むこともできないです。何もすることがないので、ただじっとろうそくの灯を眺めているだけの時間を過ごしました。夕食時には、ろうそく一本の灯では寂しいので、3本立てました。何か幻想的な雰囲気の中での食事でした。江戸時代の食事はこんなものだったのかなとも思いました。
ろうそくの灯だけで一晩を過ごしました。誠に心許なかったです。ライフラインの不具合は電気だけでした。しかし、日ごろは、物質文明の恩恵を十分に享受していることを、思い知らされました。同時に、関西空港や新千歳空港の被害状況を知れば知るほど、物質文明の脆さを痛感しました。
今年だけでも、7月の西日本豪雨、台風や地震などにより、ライフラインが大きく寸断される出来事が多々ありました。しかし、今後も亜熱帯性の豪雨は多発するでしょうし、今まで経験したこともないような勢力の台風が上陸する可能はなくならないです。また、震度7クラスの地震もわずか10年足らずで4回も経験しましたし、今後も日本のどこかで起こる可能性はあります。
今回の北海道胆振東部地震の震源は、既知の活断層によるものでない可能性が高いようです。科学の力では、まだまだ分からないことが多いのです。ですから、大きな地震が日本中、いつ、どこで発生してもおかしくないということになります。胆振地方の山崩れのハザードマップは、豪雨に関するものだけで、地震に関するものは無かったようです。住民にとっては、予期しない、まったく突然の山崩れだったのです。
暴風、豪雨、火山の爆発や地震等々の自然災害は、この日本列島で、何時、何処で起こっても不思議ではありません。そして、どれも、今日の科学の力をもってしても、発生を完全に予測することは不可能です。それでも、人間の命は絶対に守らなくてはならないです。根本的な対策が必要です。しかし、どうすれば良いのでしょうか。
もちろん、最優先は、今日の科学の成果をすべて投入して、人命を守る施策を、最優先に、早急に実施しておく必要があります。それでも、何が起こるか分からないのです。行政が指示してくれなかった、では済まされない事態が起こる可能性があります。ですから、何が起こっても、状況を自分の力だけで判断して、何をなすべきかを見出して、確実に行動を起こす力を身に着けておかなければなりません。この力が、知恵であると言えます。知恵を身に着けておくことは、自分の命を守ることになるのです。知恵ある子どもを育てておかなくてはならない、大きな理由です。
もっと根本的に考える必要もあります。そもそも、どのような自然災害などが起きても、日本列島で生き続けることが可能な人口は、如何ほどであるのかを知ることです。そのための研究がなされなければならないですし、その成果をもとに、将来、生き続けることが可能な人口になることを目指さなくてはならないです。豊かな文明の成果を享受するより、もっと大切なことです。

理事長 荒木 光(京都教育大学名誉教授)

http://plaza.rakuten.co.jp/honkideeco

●ヒロヤの独り言

【職人と珠算教育者】

そろばんの職人とそろばん教育者の違いを一つの例をとって見るとしましょう。
私の育った京都市には漆塗りの職人の家があった。中学校を卒業してその漆塗りの家に弟子入りすると、直接、漆を塗ることを含めて、その家の生活を学ぶことであった。
例えば、朝起きて漆職人の家族に挨拶をする事から躾が始まる。職人の家の家事のすべて教わる。職人の家族が朝食を食べ終わった後に、一人で食事をする。職人の見習いは、親方の奥さんから台所へ行って食器を洗うことも教わる。朝の掃除の仕方を習う。2~3年経つと、親方の漆の道具の使い方を習う。
20年程経つと、市内の作品展に出品する。出品を繰り返すことによって、他の職人の作品を観、参考にする。
40代半ばで、入賞作品が作れるようになる。それを2~3年過ごすと50歳半ばになると自然に親方から独り立ちしていく。
そろばんは、そういう職人の技術を学んで作品を作るのではなく、ちょうど、水素と酸素が化学反応を起こし、水ができると同じ様に、81通りの加算・減算を教え、かけ算・わり算を教えることによって、漆職人を親方が作品を作るのと同じ様に、そろばんの能力のある人間が育成される。
最近、学習塾がそろばんを教えるようになった。特に学習塾は文章題を重要視するようになったのだが、算数教育は、加算、減算、かけ算、わり算を教え込むことが普及している。
ところが、物事に対して、集中力・理解力・忍耐力をつけることが学習塾にとって大切になってきた。
そろばんを習っていない子と比較すると、習っている子供は、集中力・理解力・忍耐力が勝っている。特に、文章力をつけることによって整理する能力が飛躍的に勝っている。その整理能力が他の教科を勉強するに当たり、そろばんで身につく整理能力は飛躍的だ。
今後のそろばん教育は、四則を練習するだけではなく、「文章題を解く事によって学校教育に寄与すること間違いなし」であると思われる。
全国珠算教育連盟、先代の故荒木 勲会長は、一般の会員から問われるに、暗算と文章題で、どちらを選ぶかと問われると「文章題!!」と答えていた。

2018.10 荒木 碩哉

”考えるそろばん 小学生大会” 感想文

埼玉県 卜部智代子

この度の小学生の考えるそろばん競技会に初めて参加させて頂きました。審査委員に配属を受けまして採点に入りましたが、難しいことと言ったらありません。単調なマル付けに慣れてる私は採点も考えながら、じっくり時間をかけて採点しました。文章問題などは、特に個人の解き方を理解しながらですので大変でした。これからもっとがんばらなくてはなりません。これが実感です。


埼玉県 佐藤 理沙

今回初めて参加させていただきました。採点はとても難しく、慣れるのに時間がかかりましたが、一種目一種目がとても勉強になり、今後の指導のとても良い参考になりました。
文章題や英語聞取諳算など、生徒の準備が不十分でしたが、ようやく大会の流れが分かったので、とても刺激になりました。


茨城県 平塚 絹子

今日は久しぶりに大会に参加し、採点を手伝わせていただきましたが、普通のまるつけとは違い、減点法にまごつきましたが、先生方に考えてもらい、無事終了することができました。
今年は子供達と参加出来ませんでしたが、来年はぜひ仲間に入りたいと思います。
皆さん、今日は本当に御苦労様でした。


千葉県 両川  徹

二会場同時という初の試みを行うということで調整を行いましたが、力がたりず…
次回は、前もって通信方式等を打ち合わせた上で確実に行いたいと思います。折角、神戸でもやっているのにもったいない!
関西も関東と同規模で開催出来るよう!!


茨城県

H30.9.17 考えるそろばん小学生大会に参加して、競技会にのぞむ姿勢、勉強させていただきました。ありがとうございました。今後とも、よろしくお願い致します。


埼玉県

採点スタッフとして参加、思ったことを2つあげたいと思います。
小学生大会は採点基準が複雑ですので、採点基準を明記したものを配布していただけたら、採点がよりしやすいのではないかと思いました。
また、カンマのつけ忘れは無得点として扱いましたが、助数詞のつけ忘れを減点として扱うように、カンマのつけ忘れも減点として扱ってあげてもよかったのではないかと個人的には思いました。


埼玉県 竹田 脩悟

僕は、今年5回目の参加で、今年は中学生になったので、お手伝いとしての参加でした。僕の仕事は主に、プリントの配布と回収でした。あと、再審も少しやりました。ひんぱんに仕事がまわってきたので、いそがしかったです。昼は弁当が出て、とてもおいしかったです。いつもみんなが、そろばんをはじいている裏では、こんなに大変な事をしているんだなと改めて実感しました。意外と単位を忘れたり、単位換算で間違えている人が多かったので、もったいないと思いました。でも、今回の小学生大会も楽しかったです。来年は来れるかわかりません。


千葉県 菅 かいり

今年もお手伝いとして参加しました。現地に着いた時の待ち時間も競技中も、生徒が静かで驚きました。みんな、毎年いくつもの大会に出場している子が多いので、マナーが身についたのだと嬉しく思いました。
入賞はミタマがいなかったので、とても残念でしたが、他の教室のやり方を見習って成長できたらいいなと思います。このように大会に出場することは、他の教室とお互いを高め合うことができる機会でもあるので、来年はもっといろんな人に参加して欲しいです


千葉県 菅  幸子

この度は、8名のメダル受賞の皆さん、本当におめでとうございます。今回、司会を務めさせていただきました、インタビューの時には子供達の顔がキラキラしていました。多くの受賞者が出ると、他の子供達にも励みになります。これから更に小学生大会、グローバルそろばんオリンピックも盛り上げて行けたらと思います‼審査や採点では、OBなどのお手伝いもあってか、とてもスムーズに運んでたように感じられました。皆様の支えがあってドキドキの司会も無事に終えることができ感謝いたします。大会の準備など大変お世話になりました。ありがとうございました。


埼玉県 山本亜季子

本日はお世話になりありがとうございました。お疲れ様でした。
今年の夏は、連日異常な猛暑、それから、台風、地震等次々と災害が起こる中、本日は予定通り大会が開催、無事に終了することができ本当に良かったです。
考えるそろばん…大会名どおり、考えること、注意点がたくさんある大会です。今回もいろいろ考えさせられ、刺激をいただきました。
また次回、より一層盛大にできたらと思います。
担当の関根先生、準備の段階より大変お世話になりありがとうございました。本当にお疲れ様でした。


埼玉県 関根 由季

今回は初参加の教場も増え、とてもよかったです。
四則の計算に加え、指示通りに処理をする問題、和算を含めた文章問題、どの子も練習を重ね、習得していく様子が見てとれました。
「練習は不可能を可能にする」といいますが、その通り、くり返しの練習、大切ですね。
植木算・鶴亀算・方陣算・和差算・周期算などの和算を楽しみながら解けるように指導していきたいです。
採点につきまして、計算だけでないことが、採点の難しさにもつながり、今回の採点でもいろいろな点が検討されました。カンマ(コンマ)の義務付けが3年生から必要なのかどうか…検討の余地がある気もしますが、反省点としましては、募集要項にしっかり載せなければいけないという点です。
日本語聞取り算の表彰につき、1位から5位までの表彰が当日行えず、賞状をお渡しが後日となってしまったことも反省です。次回はシナリオ記載を忘れないようにします。
計算の最後の小数の表示についても意見が分かれることがありましたが、見解を一にし、生徒への指導につなげる必要があるかと思います。文章問題でも、答えを導き出すまでの解式が、一つでない事が採点の難しさの一つでもありますね。
準備等、大変お世話になりありがとうございました。


千葉県 喜多 吉子

この度、大阪の生徒さんが「小学生大会に参加してみたい」と、3月のオリンピックへご参加いただいた感触からの参加申し込みをいただき、それに気を良くした事務局では、新神戸の先生にお願いしましょう!と遠方の会員が参加できますよう…と、新会場の開催をさせていただきました。ところ…まずは、教室にて開会しましょうと出発しましたが、なかなかどなたでもそうなのでしょうか、階段の一段飛びはできていても二弾飛びは難しく、開催の直前まで決心がつかないようでした。まずは、一端を事務局が引き受けてみま
しょう~となりました。
さて、結果を申しますと、神戸市と埼玉県とのP.Cを駆使して初の大会は、あと一歩の準備が必要です。が、今後この方法でやれたら楽しかろう!!と思った次第です。


※「考えるそろばん小学生大会結果」は個人情報保護の観点から割愛させていただきます。
詳細は本誌をご覧くださいませ。

●事務局だより

二会場・同時開催について報告

9月17日、埼玉県さいたま市と新神戸と同時開催されました。(手掛かりを求めて)関東圏内に於いて参加ご協力いただける先生の状況・関西方面ではいかがか…と、同時開催をするには方法の転換もあってこそ「新会場を設定する意義」もあろうかと試みました。「出来たら良いな!」と希望を感じた次第です。
地域的に持つ環境と技術的には問題がないと思いながら、新企画に熱い気持ちを持つ人材を求める必要を実感した次第です。I.M.のそろばん指導法に興味を持つ先生はいっぱいおられます。自信をもって生徒指導に勤しみましょう。そして素敵な授業を展開しましょう!!
遠方からも参加いただく大会をこのまま進めるも事務的には問題は少ないが、やはり今までの『はじいてなんぼ!!』のそろばんを見直さなければならないと、その時お目にかかった方々のお考えのように「そろばんは教育です」と謳う先生方を大切にしたいものです。

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