レポート147号 2018年1月

●巻頭言 ”北風と太陽”

 2018年(平成30年 戊戌 つちのえいぬ) 明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。今日まで、何とか無事に生きてこられたことに深く感謝しつつ、この一年が、今日までの最高の一年となるように、日々精進していきたく思います。
2017年の“今年の漢字”は『北』でした。北朝鮮情勢が、選ばれた大きな理由のようです。国民に極端な極貧生活を強いておきながら、核開発やミサイル開発に邁進し、それが日本の安全保障を大きく脅かしていると考えている日本人が多いということでしょう。
国連の非難決議をはじめ、非常に多くの国々が北朝鮮への圧力を強化しています。これが当然なことである、と思っている日本国民が殆どと思われます。しかし、この状況が、1933年に日本が国際連盟を脱退したころの世界情勢に似ているのではなかろうか、と感じるのは私だけなのでしょうか。
 当時のほとんどの日本国民は、日本政府が悪いとは思っていませんでした。世界中が理不尽に日本を虐めている、と思っていました。その結果、戦争に突入していきました。世界中が悪いのであると考えていたのです。当時の日本では、政府の施策に反対する国民は殆どいなかったです。反対する人は非国民であるとされました。今日の北朝鮮国内は、このような状況なのではないでしょうか。
 イソップ物語に、『北風と太陽』というのがあります。力だけで物事を動かそうとしてはいけないという教訓のお話です。なるほどと思う人が殆どではないでしょうか。しかしながら、国家間では、武力を誇示又は行使することで問題を収めることは、仕方がないと思っている人が殆どです。ともに、相手国が悪いのだと主張しています。しかし、大人たちが出来ていないことを、子供たちの教育の場では、『北風と太陽』を教訓としなさいといっているのです。国家間の問題でも、『北風と太陽』を教訓とすることを、しっかりと肝に銘じておくべきなのではないでしょうか。人命を人質に取るべきではないです。
 ところで、今年の漢字『北』へ投票した人は、総投票数の内、4.36%だったそうです。2位の『政』は2%台でしたから、とびぬけていたといえます。しかし、わずか4%台の支持率でも、1位になれば、今年の漢字として後世に残るのです。そんなものであるといってしまえばそれまでですが、少し考えさせられるのではないでしょうか。
 君主政治や貴族政治と異なり、市民による政治は民主主義制で運営されます。その根幹にある考え方は“最大多数の最大幸福”です。この“最大多数の最大幸福”と言う考え方に疑義を感じる人はいないでしょう。
 今、此処に居る人々の中での“最大多数”ということです。つまり、“最大多数”の中には、今、此処に居ない人々は入っていません。過去の人々、未来の人々や、日本に居ない人々は“最大多数”の母集団には入っていません。民主主義というのは、今、此処に居る人々の幸福が最優先して採用される仕組みなのです。
 民主主義のルールに基づいて決定されたことの影響を受ける人でも、未来の人々や日本に居ない人々は、この決定ルールには参加できないのです。また、人間以外の生物をはじめとする自然界も、民主主義の決定の結果に大きく影響を受けるにもかかわらず、民主主義の決定には全く参加できません。この事実を強く意識しないで民主主義のルールに参加している人が殆どです。
 以前に、“地球環境問題を意識し始めたのは人間のエゴである”と述べました。人類の日々の生活によって地球の大循環が大きく乱され、生態系が破壊され、地球環境が大きく変化してしまっても、人類は地球環境問題を意識しなかったのです。変化した地球環境が、人類の日常生活に深刻な悪影響が出てきたので、地球環境問題を意識し始めたのです。
 ですから、地球の大循環が大きく乱されたままでも、地球生態系が破壊されたままでも、地球環境が大きく変化したままでも、人類の生活に発生していた悪影響が、根本的に解決されなくても、多少とも良くなるだけで満足することが多いです。人類以外の生物や地形等々に出ていた悪影響が軽減されなくても、あまり気にしていないです。
 過去に絶滅した生物種の数が、研究で明らかにされています。

1億年くらい前      ・・・> 1000年間で1種が絶滅
200~300年くらい前 ・・・> 4年間で1種が絶滅
100年くらい前     ・・・> 1年間で1種が絶滅
1975年ころ      ・・・> 1年間で約1000種が絶滅
現在           ・・・> 1年間で約40000種が絶滅   (国際自然保護連合)

 驚愕すべき数ではないでしょうか。すべての責任が人類にあるとはいえないでしょう。しかし、“今の自分さえ良ければ良い”という人類のせいで滅亡した生物種が圧倒的に多いのです。人類は、それに何の責任も感じていないです。厚顔としかいいようがないです。
 世界的に地球環境問題が意識され始めた70年代以後でも、人類のせいで、非常に多くの生物種が絶滅していっています。なぜ、このようなことが許されるのでしょうか。
 地球上には、非常に多くの人々が生活をしてきましたが、その殆どは、自分たちは地球生態系の中で、その一部として生かさせてもらっている、という意識を持っていました。そのような人々は地球の大循環を絶対に壊さないような生活をしてきました。
 しかし、自分たちの神が、自分たちを地球自然界の支配者として創られた、という考えの人々が出てきました。そのような考えに共感する人々が圧倒的に多くなってしまいました。そして、自分たちの快適な生活のために、科学技術を駆使して、何の躊躇もなしに生態系を破壊していったのです。地球自然界の支配者として、当然の権利と思ったのです。
地球環境を破壊した科学技術が、地球環境を何とかしてくれると思っている人が多いです。それで、地球の大循環を本当に厳守できるかどうかを、知恵を絞って、今、真剣に考えるべき時ではないでしょうか。

理事長 荒木 光(京都教育大学名誉教授)
http://plaza.rakuten.co.jp/honkideeco

●ヒロヤの独り言

IMそろばん副理事
 この、暮れの忙しいときに大嶋がやって来た。ハワイからわざわざである。
 大嶋一家が揃って私を激励に突然やって来たというのだ。エミール兄弟は今年の7月に江戸東京博物館の総会で開催された特別講演で講演をしてくれたのだ  から皆さんも見覚えが有ろうかと思う。
 彼らはそろばんについては日本の高校生や大学生と比較してみると数段上の考えを持って居る。原因を考えると色々考えられるが既にご存じの通り、彼らは、そろばん・諳算が十段である。アメリカ人で十段を取った最初の人物である。私よりずっと早くからアメリカへ渡り、そろばんを普及させていたそろばんの同士は居るが、なかなか十段取得は一人でさえ難しいようだ。昇段をするには日本の文化を理解しなければ高段を受かるに及ばない。日本人であれば、日本民族であれば十段を取得するにそれほど大げさなことでは無い。但し、日本文化とそろばん文化を理解しなければ継承は出来ないということだ。
 ということは、彼等はハワイに居ながらにして両親の元で日本の生活様式、日本を理解できる生活が営まれていたに違いないと思う。この場合、そろばん文化と日本文化とは「何」を指すか?I.M.の講座に於いて「そろばん教育の位置付け」で、教育には教育と訓育があると話した。私は正にそこが彼らには受け継がれたと理解している。
 先生方も今、この辺で武士道と騎士道との違いに気付くのではなかろうか。(武士道=新渡戸稲造 と 騎士道物語、一度お読み下さるも一考)

荒木 碩哉

●お便りのご紹介

■皆さん、お待たせしました。先月号でご紹介させていただきましたお便りの続きとなります。お礼状にてご相談しておりました件について、この度、佐藤先生よりお返事が届きました。どうぞご一読ください。

【佐藤 心一先生より】

 お孫さんの期末試験の成績、拝見させていただきました。申し分のない習熟で、大したものです。うんと褒めてやることが祖母としての務めではないでしょうか?

I.M.そろばん検定試験を実行するに「和算文章題」は欠かせません。しっかり習得してもらいたいと思います。
中学入学後、方程式を学ぶに当たり、「和算と同じだよ!簡単!!!」そして「方程式を書きながらすぐ答えを書いても、俺が諳算するのを知ってるから、先生は途中の計算を書かないことを何も言わない!」と鼻をヒクヒクさせて報告する生徒が居ます。
「いつか穴に落ちるなよ」と心配もしています。
そこで、ご指導を願いたい事がございます。私の孫が中学一年生です。
この度、二学期制の前期期末テストに於いて添付のような成績を得ました。このような段階の生徒にどのような助言・方法で指導するべきか、お伺い致します。当方、全く検討がつきません。

 算数の部分で暗算はとても思考するときに助かります。おそらく一次方程式の分数の形のものでも、「両辺に同じ数をかけて、分母を払って・・・・」などという途中経過は、おそらく暗算でできてしまうのでは無いかと思います。とても素晴らしいことだと思います。
 今、学習しているところは一年生だと比例・反比例が終わり、図形に入って行くところでしょうか?図形も平面図形や立体図形の面積、表面積を求める問題で計算できなくて、つまずいている生徒が多数おりますが、おそらくお孫さんは、つまずかずに学んだとおりに行うことができると思います。数学や英語は楽しくてしょうがないのでは、と思います。
 もしも、医師系に進ませるようであれば、健全な体と、健全な心が必要となります。頭でっかちのもやし君よりもバスケットボールやいろんなことに挑戦して汗を流したり、友達と涙したりする経験がとても成人してからためになります。
 いろんなことに貪欲に学ぶ姿勢、学習だけでなくバスケットボールの技術とか、友達や先輩とうまくやっていく方法なども学校生活の中で自然に身につけられているようですので、プレッシャーをかけずに、まずは、おそらく学年でトップだと思いますので、そのことをしっかり認めて、褒めて、いままでと同じような生活を心がけることが大切かと思います。
 私の妹は49歳のときに、もやもや病で倒れ、5時間の頭部の手術をして、今は回復しました。脳外科医は5時間も立ちっぱなしで体力も集中力も途切れることなく、手術をやってくれたのです。バスケットボールは体力や集中力をつけるにはもってこいのスポーツです。是非、文武両道で進まれることを祈念いたします。
 思春期から高校、大学、そして成人と進む訳ですが、どこかで挫折を経験します。それが早いうちに経験しておけば、心がくじけることがありません。スポーツで負けることを覚える、これも立派な挫折です。でもまた明日から、バスケをやる、そういう子どもに育って欲しいと思います。
 教え子の中にも様々いて成績は優秀でしたが、仲間と上手くやることができずに、仕事を止め心の病になった者や定職に就けずにアルバイトを繰り返している者もいます。学級担任としては一番辛いところです。どうして、もっと挫折を味わわせてやらなかったのか、ですね。20歳過ぎてから挫折すると、立ち直りに非常に時間がかかります。できれば、中学、高校で、親に反抗して、そして対決して、挫折して、という、それが一般的な子どもの成長らしいです。
 いろいろな親と面談していると、「くそばばあ、うるせ~!」と言った信じられない言葉を吐く子どもが20歳過ぎてから母親を大事にするようになった、という事例もあります。人は様々ですが、全て成長過程ととらえられる心のキャパシティが大きければ、子どもも大きく育つようです。
 お孫さんに上記のようなことはないかもしれませんが、いずれ子どもは日々変わっていきます。よく変わったら褒めて、悪い方向に行ったかな、と思ったら、少し話してみる、気持ちを聞いてみる、みたいなことを続けていけば、大丈夫かと思います。
 秋田県は冬に突入ですが、そちらも寒くなってきているようで、ご自愛くださいませ。また何かありましたら、メールください。

佐藤 心一

◇佐藤先生、ご多忙のところ本当にありがとうございました。挫折の経験は早いうちに!
挫折の場面は人それぞれだと思います。その場面が、そろばん学習時であるならば、上
手く乗り越えられるよう声をかけてあげたいと思います。

●新年のご挨拶

茨城県 平塚 恒夫

 皆様、新年おめでとうございます
 今年の4月度にはIMそろばんの「考えるそろばん検定試験」50回の節目を迎えます。考えるそろばん検定試験の原点にふれて、更に発展継続していくことを期待しております。
 その特徴は、

  1. けいさんをするだけでなく出てきた答えを処理する力を身につけられるように工夫されています。
  2. 150年ぶりに、和算とそろばんとの結合を果たしました。「和算研究所」の監修を全面的に受けた検定試験です。その結果、ただ単に計算するだけでなく、文章を読み考え、発見し、式を立て、そして計算をして答を求めなければなりません。自らの力
    で考えるという力が身につきます。
  3. 国際化に応えて、英語の導入を随所にしています。

 一言で言えば世間が求めている「知恵」のある生徒育成を目的としているもので、安心して検定試験を受けることが出来ます。四則だけの検定試験はその役目を終了しました。
 「知恵」をつけるには、指示された古紙を覚えてやるだけでなく、自分の力で考えることが必要です。問題を読み、「考え」、そして「発見」をし、さらに「考える」ことを何度も繰り返すことで、生きていくことに不可欠な「知恵」が身につくのです。IMそろばんの「考えるそろばん検定試験」はそのような「知恵」を身につけることを可能にする検定試験です。まだ、「考えるそろばん検定試験」を生徒さんに受験させていない先生方も、是非受験させて頂きますよう宜しくお願いいたします。


 

埼玉県 関根 由季

「新年に寄せて」
時折、そろばん教室を卒業した生徒達が訪ねてきてくれます。
 二浪したけど国立の医学部に入学できました。希望の大学に進学できました。警察官になり頑張っています。就職が決まりました。などなど…
 みな、それぞれの道を歩みながら、頑張っていることがとても嬉しいです。思いやり、気配りを忘れず、心身ともに健康にこれからも成長していくことを願っています。
 現在、教室で頑張っている生徒たちにもそろばんを通じて多くの事を学び力をつけてほしいとの思いで、今年も指導して参ります。本年も宜しくお願いいたします。


 

静岡県 渡邉 真一

 新年明けましておめでとうございます。
 皆様におかれましてはつつがなく新しい年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
 一年前、私は皆さんのお力をお借りして、新春セミナーを、実施しました。そして又、新春セミナーを、実施する運びとなりました。まずはこうして無事に新しい年を迎えることができたことを感謝し、皆さんに心からお礼を申し上げたいと思います。
 この2年で学んだことは、私一人では何もできないということです。私は理事として会員の皆様より少しでも前をいきますが、ぜひとも各自が自分の持てる力を最大限に活かす努力を、そしてそれぞれの調和と同時に全体のレベルアップを目指して頂きますようお願いいたします。
 今、私たちのI.Mは新たなステージに入っています。この組織が10年先、20年先、次の世代まで残っていくために、皆さん一人一人の力をお借りしながら一歩先を見据えた価値観の創造に努めて行かなければならないと思っています。
 この新しい年がより佳き年になるよう心より祈念いたしまして、私からの年頭の挨拶とさせていただきます。
 皆さん、今年も宜しくお願いします!一緒に頑張りましょう!


 

三重県 吉田 健志

 新年明けましておめでとうございます。
 IMそろばんに関して私の一番に願うことは碩哉先生のご全快です。
「荒木先生、いつも暖かくご指導いただき誠にありがとうございます。先生の足元にも及ばない私ですが、新年度も一人一人の生徒さんを大切によりよい教室を目指し、先生にいい報告をさせていいただけるよう精進してまいります。またお会いできる日を楽しみにしております。」
会員の皆様にもご健勝、ご多幸をお祈りさせていただきます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。


 

兵庫県 奥山 慎介

 明けましておめでとうございます。
 年末年始はゆっくり静養されたことと存じます。今年は協会にとって大きな変化の年だと存じます。伝統を大事にしながら、変化してゆく社会をよみ協会における『良き教育』を突き詰め現場に落としていく必要があるかと思います。私はまだまだそろばん経験が浅く、教務に関しては皆様の足元にも及びませんが、若手なりに意見をだし貢献できるよう努めてまいります。何より荒木先生に恩返しできるよう頑張ってまいります。
 ご迷惑をお掛けすることもあるかと思いますが、本年もどうぞよろしくお願い致します。


●事務局だより

 新しい年です。明けましておめでとうございます。このようなお正月は“今一度挑戦”という気持ちが素直に生まれて来る有り難い時間です。昨年も会員の皆様に後押しをしていただき勧めることが出来ました。今年もより一層のご協力と叱咤激励をお願い致します。
 間もなく新春セミナーがございます。出席の皆様に今年の「三方よし」は正に楽しみなこと話題です。経営の楽しみ・生徒のやる気の楽しみ・一番に「教場の生徒さんがこんな子供に育つように・・・」との夢でお腹を一杯にしたい先生方にとって、今年も素晴らしい年になりますようにと、事務局は会の進行を応援して参ります。宜しくお願いします!!

喜多 吉子

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